低用量ピルとは

OCとはOral Contraceptives(経口避妊薬)の略で、避妊を目的とした「錠剤」です。 OCに含まれている2種類の女性ホルモン(黄体ホルモン、卵胞ホルモン)は卵巣から分泌される ホルモンとほぼ同じ成分なので、服用中は脳が「ホルモン分泌中」と勘違いして排卵が起こらない 状態となり、妊娠を防ぐことができます。 また、OCには受精卵の着床を防いだり、子宮内に精子が入りにくくする働きもあります。 服用を中止すれば体は短期間で排卵の準備を始めだします。卵巣や卵子には影響をおよぼしません。
確実な避妊が期待できます。 避妊手術100%に続いて99%以上の避妊効果があります。日本では一般的なコンドームの 避妊率は各コンドームメーカーなどの調査よると、その避妊率は80~85%のようです。 つまり10人に1~2人の確率で妊娠してしまうということです。つけ方やタイミングによりコンドームは はずれてしまう・破れてしまう事があります。実際に翌日「破けてしまって」と病院にアフターピルを 処方してもらう女性は多いのです。でもその点、低用量ピルは「女性が自分自身で避妊をすることができる」 唯一の方法です。
生理痛が軽くなり月経の量も減って、日数も短くなります。 PMS(月経前症候群)や生理痛が軽くなります。生理前の苛々や頭痛などの改善が見られます。また月経の量が減り日数も2~4日に短くなり ます。大半の女性が感じている月経痛や不快感が大幅に軽減され「以前とはくらべものにならない!楽になった!」 とおっしゃる患者様がとても多いです。
不妊症や生理痛の原因となる、子宮内膜症を予防することが出来ます。 子宮内膜があまり厚くならないうちにピルによって規則的に月経が起こるので、出血量が 減り、子宮収縮も抑えられて子宮内膜症になりにくくなるという報告もあります。すでに子宮内 膜症にかかっている場合は、進行をくいとめられる可能性もあります。 また、子宮体ガン・卵巣ガン・大腸ガンの予防が報告されています。
大人ニキビ・多毛症に効果があります。 ピルには男性ホルモンの産生、活性を抑制するため、『大人のニキビ』には非常に効果があります。 男性ホルモンには皮脂分泌を活発にさせる働きがあるため、毛穴をふさぎ、ニキビをできやすくさせます。 ピルを飲むことで、生理前に増える男性ホルモンを抑え、ホルモンバランスのとれた状態をキープし、 ニキビができにくい状態にし、「美肌ホルモン」といわれるエストロゲンで女性ホルモンを補いニキビを 改善します。

ピルに対する誤解

ピルは、世界中の女性に広く使われている避妊薬です。
男性に頼りがちなコンドームと違い欧米では「女性が自分自身で避妊をすることができる薬」として 一般的に認知されており、正しく服用すれば、ほぼ100%避妊できます。
ただ、日本では避妊用の低用量ピルの認可が1999年にされて約20年ほどになりますが、欧米程広まっていません。
それはピルに対する誤解が非常に多いからです。ピルは専門医のもとで正しく服用すれば20代から更年期を迎える頃 まで長く女性の味方でいてくれる薬です。
●がんになる ピルを服用することで将来がんになりやすくなることはありません。子宮体ガン・卵巣ガン・大腸ガンの予防が報告されています。
●生理が止まったままで妊娠しなくなる ピルの服用をやめると排卵が再開して妊娠可能な状態に戻ります。 ピルは不妊症の原因となる子宮内膜症を予防します。ピルはホルモンのバランスを整え妊娠するための方法でもあります。
●太る ピルを服用することで太ることはありません。
太ることを心配される方が多いですが、ほとんどの女性は変化が見られません。
●ひどい吐き気や頭痛になる ほとんどの方はおきません。起きても軽く1.2ヶ月で消えていきます。 また、ピルの種類を変更することで改善します。ピルが処方され始めた40年ほど昔はピルに含まれる ホルモン量が多く、副作用を引き起こす例も見られたため「副作用が怖い」というイメージが 広がりましたが、平成11年に日本で認可された低用量のピルは、ホルモン量が低めに 抑えられているため副作用の発生率もかなり低くなっています。

ピルのデメリット

定期検診が必要 半年に1度の採血と1年に1度の子宮がん検診が必要になります。
血栓症 ピルには血栓症という合併症のリスクがあります。
血栓とは血管の中で血が固まり、つまってしまう状態です。 ピルは血栓症の確率を2〜3倍にします。代表的な病名で言えば、心筋梗塞や脳梗塞、肺梗塞になります。 しかし、発症例は30才の女性であれば2万人にひとりしか起きません。

血栓症が起こりやすい条件

  • 血栓体質
  • 肥満
  • タバコ
  • 手術
  • 年齢
  • 長期安静
  • 脱水
  • 高血圧
  • 糖尿病
これらのリスクは、血栓症の発症の確率を数倍に引上げます。 ピルによっても血栓症のリスクが数倍になります。 したがって、自分の持つリスクの種類や数によってはピルの 種類を選んだり、症状によっては飲まないという選択が出てきます。
専門医とじっくりお話をしてみてください。

血栓症が起きた人の約半数のケースでは、「血栓症を起こしやすい体質」の方でした。

血栓症の症状

頭痛や息苦しさ、ふくらはぎの痛み、舌のもつれなどがあげられます。 すぐにかかりつけのお医者様に連絡するようにしましょう。

血栓症の予防

当院では必ず処方前に血栓症を起こしやすい体質かどうかを問診をし、採血で内服前に確かめます。
処方中は、定期的に採血での検診を受けていただき、数値を確認しています。
日常生活では、長時間同じ姿勢を取らないように気をつけましょう。ふくらはぎに血栓が出来やすいので 足首を回したり、曲げたりするストレッチなどがおすすめです。
また、血液がどろどろになると血栓が出来やすいのでこまめな水分補給をおすすめします。